平成19年2月26日(月)
担当現場である神戸市北区の竹林寺や大阪市東成区の常善寺の部材解体修復時から和釘が多少でてくる時があります。和釘と言えば古い社寺建築に多く利用されている構造金物です。現代では宮大工さんか、もしくは、古い文化財の修繕の時に使用されるくらいです。
和釘の古いものでは、中国から輸入されてきた飛鳥時代から確認されています。和釘の製鉄方法は砂鉄からの踏鞴(タタラ)製鉄が一般的だったので、現代の西洋釘のような強度はありません。和釘は指で強く押せば、比較的簡単に曲がります。手作りの分、強度的に脆いところがありますが、社寺建築は基本的に木組みで強度を出し、金物には頼らない工法なので、和釘は補助的な役割しかなかったと思います。
先日、神戸市にある「竹中大工道具館」に行ってきました。大手ゼネコンの竹中工務店が主催している道具博物館です。原始時代からの矢じりを利用した鉋(かんな)や現代に通じる江戸期の鑿(のみ)や鋸(のこぎり)等展示しています。ヨーロッパや中国の道具も置いてあり、貴重な資料を見学させてもらいました。
現代の建物は建築基準法などの制約もあり、構造用金物を多用しなければ建てれないものがほとんどです。しかし、古来の伝統工法にもきちんと評価されることも大切だと思います。古い金物や道具に接する機会がある度に実感しています。
神戸支店 丸子 健士