出張などで関東を離れる事が多かった3月。最初の週末には今年度で退官される恩師の最終講義を受講する為に美濃へ行って来ました。久しぶりの母校への旅。せっかく岐阜へ帰るのならばと、加子母(かしも)経由して、東京支店・関東社寺で進行中の現場で使用する造作材や、森の合板工場で東濃ひのき合板を積んで来ました。
材料を積み終え、いくつかの用事を片付け、美濃への出発までの時間に改修中のかしも明治座へ。外部足場と仮屋根を終え、屋根瓦を降ろしながら、内部の解体工事が行われていました。

明治27年生まれの121歳になる加子母(かしも)の芝居小屋。加子母(かしも)の人に愛され続けた地域の宝が、地域の人の手で創建当時の姿に化粧直しをしています。
内部はステージの娘引幕などが外され、客席の床板を捲り、構造材・下地材の腐朽・蟻害状況を確認。構造材には一本一本に番付札を付け、現状把握と並行して手解体が進んでいます。


現在行われている平成の大改修では、創建当時の石置き屋根に復元すると共に、耐震補強が行われます。石置き屋根では、栗の枌板(へぎいた)を積層に葺き仕上げます。使用する83,000枚の枌板も加子母で拵えています。
枌板を制作している岩木誠さんは加子母地歌舞伎公演で長年舞台に立ち続ける名女役。舞台に立ち続けた演者の岩木さんが、加子母地歌舞伎公演で長年舞台に立ち続ける、岩木さんが栗の榑板(へぎいた)を拵える中、少しづつ解体が進んでいきます。
耐震性の面においても、室内空間を大きく替えてしまう事無く補強を行っていきます。今秋竣工の明治の芝居小屋。加子母(かしも)地域の皆で力を合わせながら、こけら落とし公演が行われる秋に向けて粛々と工事が進みます。
東京支店 中島創造