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ダーウィンの悪夢
2007.2.23 建築工房 羅漢  馬越 健一

今回は、ドキュメンタリー映画の紹介です。
地球温暖化、環境破壊、など切実な問題が全く他人事ではなくなってきた昨今ですが、またひとつ考えさせられる映画を観てきました。
映画の舞台は、アフリカのヴィクトリア湖です。ヴィクトリア湖は、ケニヤ、ウガンダ、タンザニアに囲まれた、琵琶湖の100倍の大きさの湖で、ナイル河の主流の一つである白ナイル河の源流でもあります。特筆すべきは、100万年の歴史があり、湖という隔離された環境にあるため、「ダーウィンの箱庭」と呼ばれ、数100種の固有種が棲息していたということです。
その固有種が絶滅の一途をたどり、その数は半減しているそうです。その原因は、バケツ一杯のナイルバーチという肉食魚の放流から始まったということです。ご存知の方もおられるでしょうが、この魚、ヴィクトリア湖から日本にも輸入され、白身魚のフライとして売られいるそうです。
ナイルバーチは、体長2m、体重200kgにもなる大魚で、その身は美味しいため、ヨーロッパなど世界へ輸出され、そのおかげで、ヴィクトリア湖周辺に住む人々に富をもたらしたとのことです。
ところが、その裏には負の一面があります。大きな肉食魚が生態系のトップにたち、喰いつくしたため、生態系が崩れ、水が汚れ、太陽光が湖の底に届かなくなり、光合成をする植物も息絶え、それが一層環境汚染へと繋がる悪循環をおこしています。固有種がすでに半減しているというのは、大変なことです。 
また、経済的な面でも、豊かになったのは、ごく一部の人々で、元々細々と漁業をして暮らしていた人はより貧困にあえいでいるし、ナイルバーチは大魚なので、漁には危険が伴う割には、決して賃金が良いようには見えません。本当に一部の加工業者、輸出業者の経営者のみが設けているようにしか思えませんでした。
街には、売春婦、ストリートチルドレンがあふれ、エイズ問題ももちろんあります。
ナイルバーチの身の部分は全て輸出するため、現地の人が食べるのは骨と頭のアラの部分だけなのですが、そのアラを相当不衛生な状況で天日干にして、油で揚げる作業のシーンがありました。そのアラからは既にウジがわき、悪臭で目が腐って見えなくなった人もいました。
ナイルバーチの輸送にも問題がありました、旧ロシア製の飛行機が積んでいくのですが、どうもタンザニヤへ来る時に武器を積んで運び込んでいるようなのです。
一部の富裕国が、アフリカの自然を踏みにじって、富を得ている構図がまた一つ明らかにされたと感じました。
琵琶湖のブラックバス、ブルーギルの問題はどうなっているのでしょうか。喉元過ぎればで、どんどん問題をおきざりにしてきていますが、そのうちしっぺ返しがくるのではないでしょうか。
by NPSKOBE | 2007-02-23 12:14
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