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それぞれの熱い思い
平成18年11月24日(金)

暖かい気候から、ようやく季節も晩秋らしくなってきました。紅葉も見頃を迎えています。紅葉と言えば、秋の京都を思い浮かべます。今週末はたくさんの観光客が色づきの綺麗な風景を求めて、京都に行かれることでしょう。

秋の京都を考えながら、新聞を読んでいると、京町家の特集を見つけました。皆さんは京町家知っていますか?京町家は神社仏閣や庭園と同じくくらい京都の景観形成に重要な存在です。京町家の特徴としては間口(建物の正面)が狭く、奥行が長い、うなぎの寝床のような造りの住宅です。ただ、今のような造りなったのは、豊臣秀吉が当時の京町衆の勢力を弱めるためと都市防御の理由に、元々の正方形に近い敷地の真ん中に一本通りを入れて、長方形の敷地にしてからだと言われています。

特集記事では、三人の女性のことが載っています。町家を一般公開したり、創作の場に使ったり、町家の保全や再生に動いたりとしています。取組む姿勢は違っても、それぞれに京町家への熱い思いがあるように感じられました。

京町家がこのような形で注目され始めたのは十年前くらいからです。当時、バブル経済の影響で町家が次々と取り壊され、駐車場やマンションに造り変えられていきました。京都の風情ある景観も寂しくなった時期です。夏は暑く、冬は寒い。そして、室内は暗い・・・。京町家は現代的には確かに不便なものです。ただ、利便性だけを追求する姿勢や高度経済成長の時代のように大量生産、大量消費、そして、建物をスクラップアンドビルド式にすぐに建替える風潮に疑問をおぼえます。そして、それは現代の住宅事情にも共通することです。

中島工務店の住宅は50年、100年後も残る建物をめざしています。そこには木を育て、そして、山から切り出し製材し都市部に送り、家を建てる。皆で知恵を出し合い、考え工夫し、ものづくりに真剣に取組む姿勢があります。京町家の女性たちのように、木造建築や木の愛着への思いは、それぞれ違いますが、熱い思いをもって後世に残る仕事をしていきたいものです。

                                   神戸支店  丸子 健士
by npskobe | 2006-11-24 08:38
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