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ロハスな日々 Vol.5
2006.9.9  建築工房 羅漢  馬越

昨日の清隆さんの「高気密高断熱」、読ませていただき、木精空間のHPを閲覧しての感想、意見を書きます。
木精空間のHPは、壁内結露の観点からみれば、目からうろこでした。通気層・内部フィルム貼り・通気止め、結論から言えば、この3点セットは、壁内結露の諸悪を無視しない限り、必ず要るということです。
しかし、となると、また新たな問題発生です。そもそも生活による水蒸気は実際のところどういう経路でどうなっていっているのでしょうか。
昔、ゼネコンの設計部にいたときのことですが、そのころは、RC(鉄筋コンクリート造)のマンションを多く手掛けていました。考え方によれば、RCは高気密高断熱に非常に似通っています。つまり、内部の生活による水蒸気は高気密のため外に逃げようがありません。しかし断熱性は良いため結露はしにくい特徴があります。もちろん、当時のアルミサッシは今程性能は良くなかったので、サッシの結露はひどかったです。ということで、ある日、結露のひどい住戸があるということで、調査に行ったことがあります。同じような条件の住戸がたくさん並んでいるのに、何故、その住戸だけが結露するのか? その答えは、玄関の戸を開けた瞬間にわかりました。訪れたのは、確か季節は冬でしたが、戸を開けるや熱気と湿気がムッと襲ってきました。2LDKだか3LDKだったか忘れましたが、部屋の戸を全てあけてストーブをガンガンにたかれていました。湿気はストーブの上のやかんだったか、鍋の蒸気のせいだったと思います。つまり、この例はちょっとおおげさですが、部屋内の水蒸気は外に出すか、部屋内の仕上材の調湿作用を利用するか、水蒸気の量を減らすか、いずれか、もしくは、各々を複合して行う必要があるということだと思います。
壁内結露の問題は、耐久性の問題にも関わるため絶対に無視はできませんが、上記のような生活をする方と冬でも程々の暖房をして部屋内を乾燥させている方とでは、おのずと対処の方法も変わってくると思います。
住宅を建てられる地域性、密集地で窓もあまり開けられないようなところなのか等、地域性や、施主さんの生活習慣によって、断熱の考え方は変わってくるものだと思います。
ところで、この時期、暑い日差しの中、ふと日影にはいり、そよ風が吹くだけでとても涼しく感じます。木陰を作っている木の葉が住宅の屋根です。寒風から身を守るため壁を作り、地面からの湿気や害虫から身を守るため床をあげ、そよ風を入れるため窓を作ったのでしょう。新しい技術は人の生活を豊にするために進歩をとげているのは間違いないのですが、問題を複雑にしているのも事実です。人間も自然の一部なら、住宅も技術のつまった機械ではなく、自然の一部なのではと思います。
by npskobe | 2006-09-09 17:54
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