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世界遺産
-平成18年5月15日(月)-

先日、本屋で
NHK出版の“日本の世界遺産・秘められた知恵と力”
という本を見つけて購入しました。

この本は、NHKスペシャルとしてTV放映されたものが出版されたもので、ご覧になった方もおられるでしょう。

この本は、世界遺産が科学技術文明以来の知恵を結晶化した、神話の知の宝庫であることを教えてくれています。
京都大学の耐震工学専門家、西澤英和講師は
「われわれが目にする木造家屋は、たとえ和風の外観であっても、実際には、RC(鉄筋コンクリート)造の基礎と土台をボルトで緊結し、筋交いを用いて骨組みを固め、さらに結合部には金物が多用されているはずである。(中略)今建てられている木造家屋は、戦後に起源をもつ『現代木造』」で『伝統木造』とは、地震への考え方が全く違う。戦後基準の考え方は、木造建築をいわば力づくで剛に固める、いわゆる剛構造の立場に立っている。『伝統木造』は、釘金物に頼らず、基礎を固定しないことで木造の柔らかさや粘り強さを発揮させる、日本独特の柔構造の考え方にのっとる点で、『現代木造』とは全く異なっているのである」
と発言をしている。
本を読み進むと、この伝統木造建築の優れたメカニズムが次々と明かされていく。

第二章では、倒れない五重塔-神話から科学へという題で、始めに、震源地に近い神戸市の須磨寺の三重塔をとりあげている。この寺の境内の多くの建物が被害を受けた中で、伝統木造工法で建てられた三重塔だけは、被害を受けていない。そして、実際の地震による、塔の”奇妙な揺れ“の目撃談が、最後には、大型耐震実験施設で証明され、五重塔の「不倒神話」が解き明かされる。

ようやく現代になって取り入れられた免震のシステムが、1000年以上前の五重塔にはすでにあったことに驚く。

他の章では、厳島神社や白川郷合掌造りなどを取りあげ、先人の優れた知恵を教えてくれる。大事なものを守ろうとする古人達の思いが大きな知恵となり、現代では、手本がなければ造れない物を造り出した気がする。現代の耐震偽装が、建物に対する思いの違いを表しているように思う。

中島工務店神戸支店でも、3件の免震の住宅を造り、彩都の免震モデルハウスでは、試験的に揺らす装置も設置されています。
木の柔軟性と免震装置を体験してみて下さい。

    藤木電工社   藤木 健
by npskobe | 2006-05-16 09:26
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